Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

イタリア・バルバレスコのワイナリー ガヤ(GYJA) 2

yH5BAEAAAAALAAAAAABAAEAAAIBRAA7 - イタリア・バルバレスコのワイナリー ガヤ(GYJA) 2
 ガヤの入口は見上げると7,8メートル、トラックが3台は通れそうなほど大きな扉で閉ざされていた。その扉はアポイントがないものには近寄りがたく感じられそうなほど重々しく見え、僕はソムリエの資格を持つ2名の方と一緒にインタフォーンを押した。
 ミラノより平均気温が低いピエモンテのワイナリー地域と言っても夏の日差しは強く、バルバレスコの丘はまるごと焼きつきそうな一日だった。僕たちは汗をかき、それでもその重い扉が開くのを待った。そう、まるでひざまずいて祈るように、天国への扉をノックしたときのように。ガヤを訪れるというだけですでにイメージ負けしている僕がそこにいた。
 しばらく間があり、インターフォンから声が聞こえ僕は名前を告げた。そして約束の鐘がなるようにブザーが鳴り、その扉の一部が開いた。「入ってすぐ左のオフィスへおいでください」と、礼儀正しい声が聞こえた。
 STK_2577_convert_20130829073220.jpg
 門を潜ると開けたスペースがあった。その広場には5台ほどの車が停めてあって、正面には工事用のクレーンがぶら下がっていた。一見それほどの格式も感じられない田舎の工場という感じだ。左に進むとガラス張りのオフィスが見え、中に入ってゆくと背中の曲がった順応そうな中年の男が案内してくれた。おそらく彼がインターフォンの対応をしたのだろうと思ったが我々は更に奥へと案内された。通り過ぎる廊下にはGAYAのワインボトル、GAYAの木箱、GAYAのポスターなどが飾られている。それらを通り過ぎてさらに奥の小部屋に連れていかれた。
 小さな白い石をいくつも重ね合わせた作られた壁の部屋の広さは8畳ほどで真ん中にはステンレスの大きなテーブルが2つ重ねて置いてあった。壁際の棚には年代物のGAYAのワインボトルが飾られ、天井に近い小さな窓からはくぐもった夏の光が注ぎこみ、外と比べると急に気温が下がったせいかなぜだか海中にある幻想的なカフェのように思えた。
僕は案内してくれた男に「写真撮っていいの?」と聞いたが、「今案内の者が来るのでそれまでお待ちください」という回答だった。私には何の権限もありませんので…、と言いたげだったが彼は我々を部屋に残して去っていった。
 それから我々はしばらくその部屋で圧縮されたような時間を過ごした。オフィスの男は我々が来たことを誰かに伝えにいったはずだったが、ずいぶん待ったように覚えているのは我々がナイーブになっていたせいもあるのかもしれない。カメラを使うことを禁じられ、我々はそのワインボトルを眺めるしかなかった。ワインボトルは明確に我々がGAYAの領域に入ったことを告げていた。古いラベルの大半は時の浸食によってカビつき、それを祭りあげる人間が見ない限りはただのゴミか、時代遅れのモダンアートにしか見えなかった。ボトルを眺めるのにも飽きると我々は椅子に座り誰かがやってくるのを待った。まるで何事にも熟成には時間というものが必要なのです、と言わんばかりに我々は待ちわびた。もしかしたらこうゆう作戦なのかもしれないな、と疑り始めたころにようやく部屋の扉が開いた。
 パリッとした質の良いイタリアンスーツを着た、いかにもうんちく臭そうなおじさんが現れるものだと思っていたが、出てきたのは若い青年だった。おそらくは20代半ば、金髪の柔らかい短い髪、細長い眉にブルーの瞳、浅黒いイタリア人というよりは肌の透明なフランス人ぽい、白いシャツを胸元まで開けた彼はそれでも背筋の通った品のある青年だった。
「ガブリエッレです、はじめまして」と彼は言った。
 イタリア人の名前というのはそのほとんどが聖人の名前から由来している。だからジョバンニは数えきれないぐらいいて、ダビデも掃いて捨てるほどいる。ま、とりあえず、ガブリエッレさんね、もしそこが聖域という名前の付いた空間なら、それもしょうがないだろうと僕は思った。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す