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イタリア・バルバレスコのワイナリー ガヤ(GAYA) 4 

地下室のカンティーナに辿りつくとガブリエッレが説明を始めた。薄暗い地下室には僅かにカビ臭い古い歴史の匂いがした。
「まずこの二つの大きな樽がありますが…」たしかにそこには大きなオークの樽があった。「トラットリアだった頃のガヤ家のカンティーナはここまでしかありませんでした。たった樽二つ分です。そこからガヤの伝説が始まったわけですが、現在のガヤはかつてのバルバレスコの領主の城を買い取り、その地下をカンティーナとして利用しています。近代ワインづくりのカンティーナではすべて機械まかせ、空調が温度や湿度を管理するのが一般的ですが、ガヤは現在でも空調などは一切使用していません。そしてポンプなども機械を使わず、できるだけ昔のままの手作業で行うのがガヤのモットーです」と誇らしげにガブリエッレは言った。
 確かにこれはどうやっても真似できないだろうなと僕は思った。こうなってはイタリア最高級ワイン造りの秘密もなにもあったものではない。ガンバと呼ばれるピエモンテの有名なオーク樽メーカー、オーストリア産のオーク樽、フランス製のバリックと呼ばれる小樽、それらが延々と並ぶ樽を見てもそれがガヤのワインづくりの秘密ではないと思った。このバルバレスコという土地、そして土壌とそして空調を一切使わずにワインを作れることこそがガヤがガヤであるための秘訣なのだ。
年間約30万本というピエモンテ地域のワイナリーの中でも圧倒的な量のワインを製造するガヤのカンティーナはさすがに延々と続いていた。角を曲がればまた大樽が並び、その間を縫うようにして手引きのリフトに載せた小樽を大切な魂を運ぶようにして職人が行き交う。カンティーナはよく清掃されているようで所々の床が乾き切らないまま濡れていて何度も足を滑らせそうになった。どこをどう歩いたのかもわからないまま階段を登ると地上に出た。
「さあ、ここからは写真を撮ってもいいですよ」と、嬉しそうにガブリエッレが言った。ガブリエッレは薄暗いガヤのワイン造りの聖地とも呼べるようなカンティーナを振り返って雄弁に語った。偉大なアンジェロ・ガヤはネッビオーロに少しバルベーラを入れることを発案し近代イタリアワインの改革を行っていったのです、そしてガヤのワインは世界への階段を上ってゆくことになりました、などなど、いろいろな説明をしてくれた。
 彼は手慣れた有能な案内役であったが、ただ薄暗いカンティーナではそれら貴重な情報も左から右に抜けていった。ただいかに上質のワインを作るか、それだけがワイン造りの神髄と情熱であり、ガヤの秘密のようなものを僕は嗅ぎ獲ることはできなかった。それでも裏も表もなく、ただ良いものを作るというプライドを保つことだけが本当に良いワインを作る秘訣なのかもしれない。
 古い空気と闇を抜けた僕は再びバルバレスコの太陽がもたらす恵みの光の中で漠然とそう思った。
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