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ミラノの風景

new days in milano
 何かを始めようと思っても、どうしてもつまずいてしまう。そんな日々が長い間続いている。そんな日々ばかりを送っていると、次第に希望することが怖くさえ思えてくる。時にはもう何にも期待するまいと思う。しかし僕は不完全な人間なのですぐに淡い夢を見てしまう。そしてまるで僕をあざ笑うかのごとく、夢は眠りの中でぼんやりとした記憶のなかに溶けてゆく。
 今日、この時間のことさえ僕はいつまで覚えているのかわからない。たぶん3日もしたら忘れてしまうだろう。今は忘却というシステムのなかに自分を沈ませ、流れてゆくものをぽーっと見ているしかないのかもしれない。そこに距離が生まれ、それが何か別のものに見える時が来るまで、僕はしばらくまだこの場所に居続けるだろう。
 それは今日の午後にでも変わってしまうかもしれない。ベルが鳴り、新しい何かが扉をノックする。そうかもしれない。
 また、期待だ。そうしてこのあてもない時間は刻々と過ぎてゆく。
 でもそうしていることが今の僕にとってはこうして生きている証のようなものと言えなくもない。他には望みようもない、この孤独で代り映えのない日曜の午後。
 僕の天使は元気にしているだろうか?彼女はどんな時間を過ごしているのだろう?僕のことを少しでも思ってくれるだろうか?
 朝から布団を干して、一人でインスタントヌードルを食べて、またこうして一人で喋っている。今はこうして過ぎてゆく時間を僕はちゃんと意味のある時間だと信じている。それが僕と君を繋ぎ、この空の下で新しい実を結ぶことになればいいと思う。
 今はそうしていないと、また誰かが意味もなく春の風をせき止めるだろう。僕はもう少しだけ冷たい場所にいて、暖かな手が僕にさしのばされることを待っている。君は笑ってくれるだろうか?もうすぐ君に会いにゆくよ。
 最近はミラノの町が全く違う町のように思える。今まで見えなかった町の光景が、町の人々の息遣いが、別の角度から世界を眺めるように新しいものに見える。それは本当に僕が誰のためでもなく、この町を受け入れようとしているからなのか、それともこの町が何かを僕に囁き始めたのかもしれない。
 2年間という歳月をかけて、今まで背を向けていた町がゆっくりと振り向くようにミラノの町は僕の中で変わろうとしている。
 ヨーロッパの石に刻まれた冷たい記憶が、もうすぐ目を覚ますのかもしれない。

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