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遘祇convert_20091006224733
 秋が来た。何の音もなく、何の合図もなく。夏の熱気が世界中のものを膨張させ、あらゆるもののあやふやになった輪郭が熱を放射しだんだんとあるがままの姿に戻って行く、秋・・・僕は秋が好きだ。というよりも徐々に寒くなってゆくのが好きと言ったほうがいいのかもしれない。やがて冬がやってくる。身が引き締まり僕の存在がここにあるんだとしっかりと確かめることができる冬がくる。空気にも「みんなには悪いけどこれからどんどん寒くなるよ」といった遠慮がちな雰囲気が感じられる。そして雪を待ちわびる。たった一晩眠っているだけで次の朝には全く違う世界へと僕を誘ってくれる。雪。太陽の光があらゆるものへと平等に光を注ぐように、雪もまたあらゆる場所へと降り積もり、それが目に見える形となって残るのだ。普段見たくないもの、欲望が染み出たようなごちゃごちゃした看板、不自然にかたどられた面白みのない町並み、ギスギスして僕に襲い掛かってくるあらゆる鋭角的なものが、真っ白な汚れの無いベールをかけられ、その姿を純白なものに包まれ、山や森たちもさらにやさしさを増して僕を見守ってくれる。僕は雪と友達なのだ。僕はそれらを傷つけることはないし、それらは僕を傷つけることはない。僕はそれらに何も求めないし、それらは僕に何も求めない。しかし我々は互いの熱のようなものを共有できる。雪は静かで安らぎに満ちた世界を僕に見せてくれる。耳障りな音や臭気、どろどろした感情、日々の心配やあてどない思い、そんなものは全部雪が吸い取って、
「さあ、これがあるがままの清らかな世界なんだよ」と僕に教えてくれるようだ。負荷のかかった余分な熱を剥ぎ取って、生まれたての赤ん坊のような生命力へと僕を誘う。僕は雪の降りしきる夜の静かな山道を車で走るのがたまらなく好きだ。タイヤが新雪を踏みしめるギュッ・・・ギュッという音、エンジン音がゆっくりと雪に飲み込まれて誇張したものを許さないような神秘的な静寂、車内ではカーステレオのわずかなぼんやりとした光だけが僕の存在を照らし出す。そこには爆発的で過剰な楽しさというものはないが、しっかりした重みがあり、手応えのようなものがあり、密着感のある安心感に似た空気が傍にあり、ひとつひとつを解きほぐしてゆくような開放感がわずかにある。
「なにも無理して生きることはない、おまえはそのままでいいじゃないか」とどこかで誰かが囁いているようだ。誰にも気づかれないようにひっそりとそんな空気のなかに身を寄せる。息を殺し、足音を立てないように、周りに気づかれないように、静かにそんな世界へと忍び寄る。そしてゆっくりと自分がとそこへ移動をしているのがわかる。そこでしか味わえないような一体感を僕は心ゆくまで噛み締める。通り過ぎる木々たちやトンネル、時々吸う煙草、コンビニで買っておいた缶コーヒー、体に染み込んでくる波の音楽。すべては親密さを増し、僕に語りかける。何かを伝えようとする。そんな気がしてくる。

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コメント

  1. SECRET: 0
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    うわぁ・・・綺麗!
    これってイタリアなんですよね?
    どこか日本らしく感じるのはFenceのせいでしょうか?
    わたしは雪の日に暖炉の前で膝を抱えて座るのが好きです。秋も好きだけれど、どうしても賑やか過ぎる様に感じてしまう。(笑)

  2. tatsu より:

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    jackrabbit さん
    えーと、申し上げにくいですが、実は写真は日本の地元の「高岡古城公園」にて撮影しました。去年のことです。
     僕もまだ体験したこはないのですが暖炉の前というのはとてもいいんでしょうね。

  3. noe より:

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    雪の道を車で…
    末町から土清水への坂道で
    タツさんの赤い車で
    ドリフトしようとして
    グルグル廻ったのを思い出します。
    あれはスリリングってゆーやつでした。

  4. tatsu より:

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    noe さん
    そんなこともあったねえ。お互いまだ生きてて良かったですね。
    まだ人生はグルグル回りそうですけど。スリリングな人生もなかなか楽しいものです。

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