ミシンで財を成した姉妹の邸宅美術館
ミラノ中心地の閑静な住宅地の中に豊かな緑葉に囲まれた邸宅美術館があります。ここはヴィラネッキカンピリオ(Villa Necchi Campiglio)と呼ばれ、ミシンブランドのネッキ(NECCHI)社を運営していた姉妹Nedda NecchiとGigina Necchi、Giginaの夫であるAngelo Campiglioの住居として1938年に建設されました。
現在は邸宅美術館として運営されており、邸宅の入り口にはプール、テニスコート、地下にはビリヤード室も完備されています。
予算制限なしで建てられた優雅な内装
19世紀初頭、爆発的な勢いで家庭に普及したミシンのイタリア国内40%以上のシェアをもったと言われるネッキ社は莫大な富を持つこととなりました。
邸宅は予算制限なしで、世界遺産「最後の晩餐」のある教会の修復に携わった当時の有名建築家Piero Portaluppiの手により設計されました。
この邸宅はNedda NecchiとGigina Necchi姉妹が住んでいた当時のままをできるだけ保存しながら美術館として公開されています。2009年に公開された映画「ミラノ愛に生きる」ではこの邸宅が使用され、主人公のモチーフになったとされています。
アールデコ調の優美な館内はもちろんのこと、財団の管理する美術品も展示されており、中世の骨董品からピカソやマティス、キリコ、モディリアーニといった著名な作品も展示されています。(財団の管理により展示される美術品はしばしば内容が変わるそうです)
王女のプライベートルームもあります
建物の二階部分は姉妹の寝室となっていますが、姉妹の友人であったとされるイタリア王家のマリアガブリエラのためのプリンセスルームもあります。
ミシンの糸を表現した天井部分の横はすべてドレッサーとなっており、現在でも姉妹の衣服が展示されています。ネッキ姉妹は週に3度はスカラ座へオペラ鑑賞に足を運び、一度も同じ服を着なかったと言われるほど贅の限りを尽くしたと言われています。
ネッキ姉妹はどちらもかなり長寿でしたが、子供に恵まれることはなく、姉妹の死後は財団によって運営されています。
美術品の収集が趣味だったとされる姉妹のコレクションを見ながらゆっくりと館内を探索できます。
使用人の控室にはネッキのミシンが残されていました。姉妹の残した近代の富の在り方を後世に伝えるひっそりとした邸宅美術館です。
- ヴィラネッキカンピリオ(Villa Necchi Campiglio)
- 住所:Via Mozart, 14, 20122 Milano MI
- Tel:(+39) 02 7634 0121
- HP
- 開館時間 10:00-18:00 月・火曜日 閉館
- 入場料:14ユーロ