偉大なる王様のワイン「バローロ」
イタリアは全土20州すべての国土でワインを生産しているワイン大国でもあります。その中でもイタリアワインを代表し「王様のワイン」とさえ呼ばれるバローロワインとはどのようなワインで、どこで、どのように作られるのでしょうか?
目次
- 偉大なるワインの生産地ピエモンテ州
- 高級ワイン生産地「ランゲの丘」
- イタリア高級ワイン3B、1Aとは?
- 世界遺産バローロ地域
- バローロワインができるまで
- ワイナリーのこだわり
偉大なるワインの生産地ピエモンテ州
バローロワインが生産されるのはイタリアの北西、ピエモンテ州と呼ばれる州です。PIE(足)+MONTE(山々)と言われるように山岳地域でもあり、フランスに面していることからフランス文化の影響も強い地域です。州都は自動車、チョコレートなどで有名なトリノ。イタリアではトスカーナ地方と並んで2大高級ワイン産地して知られています。
高級ワイン生産地「ランゲの丘」
そのピエモンテ州の中でもクーネオ県( Cuneo )という地域が特にワイン産地として有名です。他にもランゲ地域という呼ばれ方もありますが、地域を二分するようのタナロ川という川が流れており、川の南側がバローロやバルバレスコと呼ばれる赤ワインを主に生産しており、北側はロエロ地域と呼ばれ白ワインも生産しています。この辺りは数万年前には海だったと言われており、豊富なミネラル分が良いワインを育てる土壌というわけです。ちなみにタナロ川北側はサンド質で、南にゆくほど固い土壌になり、力強いワインが生産されます。このランゲ地域はブドウ畑の素晴らしい景観を認められ2014年に世界遺産に登録されました。
イタリア高級ワイン3B、1Aとは?
イタリアの高級ワイン銘柄は3B、1Aとすると覚えやすいと言われています。それでは3B、1Aとは何を意味するのでしょうか?それぞれワインの頭文字をとっています。
- バローロ(Barolo)
- バルバレスコ( Barbaresco )
- ブッルネロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)
- アマローネ(Amarone)
こうした高級ワイン産地のバローロ、バルバレスコと2つが並んでいるランゲ地域はイタリアワインが好きな人にとっては憧れの地と呼べそうです。
世界遺産バローロ地域
こちらがバローロ地域全域の地図ですが、なんとなく「手」のような形をしていると言われています。バローロはバローロいう村を含む11の村の集合地帯で、色別に区分けされた約170のワイン畑があります。バローロというワインはネッビオーロ( Nebbiolo)というブドウの品種から作られるのですが、丘陵地域は霧がよく発生し、 イタリア語の「霧」ネッビア(Nebbia)という単語から由来がきているそうです。このネッビオーロという品種にはタンニンという成分が多く含まれ、熟成型のワインに適していると言われています。 この上記の地図のバローロ地域と定められた場所で取れたネッビオーロを100%使用しないとバローロというワインは作ることができません。さらにそこには標高150m-400mまで、北向きの畑はダメ、定められたアルコール度数を超えないといけないなど、かなり厳しい規定も存在します。
バローロワインができるまで
バローロワインができるまでにもかなり長い工程が必要となります。 イタリアを代表する高級ワインになるわけですから、それだけ手間がかかるということですね。 ブドウを絞り一次、二次発酵、樽詰め、ボトリングと簡単に言ってしまえばその通りなのですが、樽詰め期間は最低18ヶ月、ボトリングしている期間は最低1年とここにも基準が存在します。バローロワインができるためにはネッビオーロから生成されたワインを最低4年目まで熟成しなくてはならないというルールがあります。例えば今年は2020年ですが、2020年元日からようやく2016年のバローロを市場に発売してもよいということになります。よくブドウの木は樹齢が長い方がよいというようなことを言われますが、樹齢が長くなるとブドウの実の数が少なくなり、自然と濃縮されてゆくとされています。樹齢20年以下の若い木のブドウはあまりバローロには向かず、ネッビオーロというフレッシュなワインになることが多いようです。
ワイナリーのこだわり
やはりお酒というものはその土地の持つ力、自然を最大限に活かすことが大切と言われますが、ワイナリーではその他にもさまざまな工夫がされています。そのひとつが樽であり、一般的にはオーク樽を使用しています。バローロ地域では古くから大型の樽を使用していましたが、70年代から「バローロボーイズ」と呼ばれる若い作り手により子樽(フレンチバリック)の使用も普及しました。
バローロワインの飲み頃は収穫から10年が目安とされていますが、子樽は液体が樽に触れる面積が大きいため、早く樽の匂いがつき、飲みやすくなるとされて一時期にはバローロボーイズ達の作るバローロワインが絶賛された時代もあったそうです。近年ではさらに多様化し、自分たちがどうゆうワインを作りたいのかによって大樽と子樽も使い分けされています。
やっぱりお酒は飲んでおいしい、楽しい時間を過ごせるのが一番の魅力ですが、こうした知識を知っておくと益々ワインに興味がでますよね。