ミラノは世界最大規模のデザインの展示会「ミラノサローネ」が開催されることもあり、長くデザインの街としても世界的にも有名です。そんなミラノでデザイン、アート、建築に特化したスポット11選をご紹介。
目次
- トリエンナーレデザイン美術館(Triennale Design Museum)
- 歴代デザイン賞の歴史を垣間見れるデザインミュージアム(ADI Design Museum)
- 伝説の建築家兼デザイナーの作品が一堂に観覧できるミュージアム「La Fondazione Achille Castiglioni」
- ミラノプラダ財団美術館(Fondazione Prada Milano)
- 近代的なビジネス地域ポルタヌオーヴァ「Porta Nuova」
- 近代美術館ハンガービコッカ(HangarBicocca)
- ミラノ近代建築「サンカルロ病院教会」
- 洗練された雑貨店マロニゴンマ「MORONI GOMMA」
- イタリアの家庭用品メーカーアレッシィのアウトレット
- アート・デザイン系書籍の専門店タッシェン(Taschen)
ミラノのデザインの歴史を紐解こう、トリエンナーレデザイン美術館(Triennale Design Museum)
そんなミラノが有するデザインミュージアムがこちらの「トリエンナーレディミラノ」。別名アートの建物と呼ばれるこの建物のなかではデザイン、建築に纏わる様々な企画展が随時行われています。
デザインとは何かを問いかけるミラノならではの美術館
一番の見どころは2007年に設立されたトリエンナーレデザインミュージアム。常設展でありながらここでは「イタリアのデザインとは何か?」ということをテーマに展示が毎年変わるという異色なミュージアムです。家具、デザインがテーマの年もあれば、ファッションの歴史がテーマの年もある。他の街にはないミラノの奥深い魅力を感じることができるでしょう。
隠れ家的有名レストラン、市内を見渡せる塔も有名
この美術館の屋上に併設されているのがTerrazza Triennale。年に一度開催されるテイストオブミラノというフードイベントにも選出されるなど地元では有名なレストラン。全席テラス席なので、ミラノの街を一望しながらカフェ、食事が楽しめる穴場スポットになっている。
またミラノ近代建築の父と呼ばれるジオポンティ(Gio Ponti)作のTorre Brancaが美術館の裏手に聳え立っている。そこからもミラノの街を一望できる観光スポットとなっている。
トリエンナーレデザイン美術館 (Triennale Design Museum)
住所 | Viale Emilio Alemagna, 6, 20121 Milano, イタリア |
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行き方 | センピオーネ公園内(Parco Sempione) Fondazione La Triennale Di Milano 地下鉄(赤1, 緑2)の「Cadorna FNM-Triennale」駅から徒歩5分 |
電話番号 | +39 02 724341 |
定休日 | 月曜休館 |
開館時間 | 火曜日〜日曜日 10:30-20:30 木曜日〜金曜日 10:30-23:00 チケット売り場は1時間早くに閉まります |
サイト | https://www.triennaledesignmuseum.it/ |
イタリア人美意識の歴史が凝縮したミュージアム
「ADI デザインミュージアム」は2021年にオープンしたミラノでは新しい美術館。こちらの美術館では百貨店チェーンであるリナシェンテがミラノを代表する有名建築家・デザイナーであるジオポンティ(Gio Ponti)のイタリアデザインの向上のためというアイデアに基づき1954年に設けられたコンパッソドーロ賞(Premio Compasso d’Oro)の歴代受賞作品を展示しています。コンパッソドーロ賞は権威のある工業デザイン賞で、現在では2年に一度選出されています。
こちらの美術館では常設展として歴代の作品が350点以上展示され、季節ごとに様々な企画展示も行われています。
他では見ることのできないデザインの誕生を紐解く
工業製品すべてが賞の対象と言うことでここではイタリア産業に携わった車、家具、電化製品、医療機器など様々な製品が展示されています。大きな特徴としては製品のデッサンや実際の設計図などが展示されていることでしょう。
製品と共にこうしたデザイナーのアイデアの深いところまで触れることができるのはこの美術館の大きな魅力のひとつです。
イタリアの日常にあるデザインというもの
ミラノではミラノサローネが行われるため世界的にもデザインの街といういめが定着していますが、こうしたデザイン賞などが引率してきた歴史があればこそその地位が確立したと言っても良いでしょう。日常にあるイタリアデザインの歴史が垣間見れるのはミラノならではの美術館と言えそうです。
- ADI Design Museum
- 開館時間:10:30~20:00 (金曜日閉館)
- 入場料:15ユーロ(支払いは電子決算のみ)
伝説の建築家兼デザイナーの作品が一堂に観覧できるミュージアム「La Fondazione Achille Castiglioni」
アキッレ・カスティリオーニ(Achille Castiglioni 1918-2002年)はミラノで活躍した建築家兼デザイナーで、トリエンナーレやコンパッソドーロ賞など数々のデザイン賞を受賞しました。作品の一部はミラノのデザインミュージアムにも展示されていますが、このミュージアムではアキッレ・カスティリオーニの191 件の建築プロジェクト、484 件のインスタレーション プロジェクト、290 件の工業デザイン プロジェクトのアーカイブ記録が保管されています。
このミュージアムはアキッレ・カスティリオーニ財団「La Fondazione Achille Castiglioni」として運営されており予約での訪問のみ受け付けています。そしてガイド付き訪問のみとなりますが、アキッレ・カスティリオーニの娘であるジョヴァンナ・カスティリオーニさんが英語(もしくはイタリア語)で説明しながらミュージアム内を案内してくれる仕組みになっています。
有名メーカーとのコラボレーション作品も展示
アキッレ・カスティリオーニは数々の作品を残しましたが、特に有名なのは照明機器でこちらのアルコランプは1962年に製造され現在でもロングセラーとなっています。
アキッレ・カスティリオーニは様々なメーカーとコラボレーション作品を残しており、イタリアの家具メーカーのカッシーナ、アレッシィ、カルテルなどいろいろなプロダクトが展示されています。
展示内容は時期により変更する場合もあるそうですが、いろいろなプロジェクトの秘密を垣間見れるのは訪れる価値のある大きな特徴と言えそうです。作品はミュージアムの済み済みにまで至る所に展示してあります。
訪問の注意事項
こちらのミュージアム訪問にあたっていくつかの注意事項がありますので記載しておきます。まずは必ず訪問の前に予約をしなくてはいけません。開館時間は火曜日~金曜日(土曜日も月に一度)の10:00/11:00/12:00の1日3回。訪問時間は約60分、1グループ20人までと決まっています。なのでここを訪れたいということになればまずは予約の連絡をしましょう。
予約方法はメール・もしくは電話(+39 02 8053606)となり、予約完了時に訪問費を支払う仕組みになります。メールをすれば開館時間以外の受け入れオプションもあるようなので、都合が合わない方は連絡してみると良いでしょう。
- La Fondazione Achille Castiglioni
- 入場料:15ユーロ
ミラノプラダ財団美術館(Fondazione Prada Milano)
新作アートが集結する近代美術館
プラダ財団がミラノに新しい美術館を創設し話題を呼んだのは2015年。壮大な歴史と文化を有するイタリアでは過去に埋没しがちと言われるが、プラダ財団が近代美術館の設立にあたり歴史と近代の融合を目指し、ファッションの本拠地プラダ本社が置かれるミラノを開設の街に選んだのもそうした理由でしょう。ミラノ市の南西に位置するプラダ財団美術館は1910年代に蒸留所として使われていた建物を改築したもの。
1万9000平方メートルという巨大な敷地は11つに分かれた連結式の建築構造から成り、かつての蒸留所の保存と新しい創造が共存し相互作用するというコンセプトになっている。オランダ人の建築家レム・コールハースが設計した建物自体もみどころのひとつとなっている。
グローバルに活躍する世界中のモダンアートを展示
この美術館ではイタリア国内に限らず、ヨーロッパ、アメリカなど世界中で活躍するコンテンポラリーアーティストの作品を展示。
常設展に加え「ポディウム」という展示室では数か月ごとに内容が変わり、「シネマ」では映像展示。今後完成する予定である「タワー」という展示室もあり、多種多様な近代アートの表現に合わせた流動的な展示内容。時期によってはアンディ・ウォーホールやモディリアーニなど有名な作品もある。
映画の中に飛び込んだようなオシャレなカフェも
こちらは 映画監督ウェスアンダーソンがデザインしたバール。イメージのミラノのカフェをフューチャーしたといわれているが、色とりどりの内装はまるで映画の中のよう。
プラダ財団美術館(Fondazione Prada Milano)
住所 | Largo Isarco, 2, 20139 Milano, イタリア |
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電話番号 | +39 0256662612 |
休館日 | 火曜日 |
営業時間 | 月、水、木 10:00-20:00 金、土、日 10:00-21:00 |
入館料 | 12ユーロ |
観覧目安 | 1時間 |
行き方 | 地下鉄黄色線M3ロディ(Lodi)駅より徒歩10分 |
公式サイト | https://www.fondazioneprada.org/visit/visit-milano/ |
近代的なビジネス地域ポルタヌオーヴァ「Porta Nuova」
ミラノのポルタ・ヌオーヴァ (Porta Nuova)地域は2005年から都市再開発が始まり、ポルタ・ヌオーヴァ・プロジェクトと呼ばれて現在では近代都市ミラノを象徴するビジネス地域の一画として知られています。ミラノのガリバルディ駅からレプッブリカ広場、近年目まぐるしい変化を見せて新しいレストランなどが続々とオープンしているイゾラ地域(Isola)などがプロジェクトの一帯となっています。
中心に聳え新しいミラノのシンボルになったのがユニクレジットタワー(unicredit tower)。アルゼンチンの建築家セザールペリ(César Pelli)によって設計されたこのタワーの高さは231メートルで現存するイタリアの建物では最も高い建物になっています。
ユニクレジットタワーの下はガエ・アウレンティ広場(Piazza Gae Aulenti)と呼ばれ、噴水や夜のライトアップなどが近代的な雰囲気を醸し出す場所となっています。地上階はオープンカフェや店舗となっており、ショッピングエリアとしても機能しています。
この広場ではイベントや展示なども季節に合わせて行われています。ブティック通りとして有名なコルソコモも隣接していることからイタリアでは逆に珍しい近代的な雰囲気を感じてみるのも良いかもしれません。
建築界に偉業を残した垂直の森「Bosco Verticale」
この地域のもうひとつのシンボルとなっているのが「垂直の森」(Bosco Verticale)と題されたこちらの建物。ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)率いるスタジオボエリが設計した2棟の複合施設で2000種類以上の木々が建物のファザードに植えられているが特徴です。近代的な都市構造とサスティナブルをモチーフにしたこの建物は建築界のさまざまな賞を受賞し話題を呼びました。
近代美術館ハンガービコッカ(HangarBicocca)
この美術館は2004年、イタリアで有名なタイヤメーカーピレッリ(Pirelli )財団が運営する美術館としてオープンしました。ミラノ市北郊外のビコッカ地域に位置しますが、かつてこの一帯は鉄鋼業として栄えたBreda社が所有する地域でした。現在ではミラノ市北公園などに再開発された地域。かつての鉄工場を改装した展示スペースは1500平方メートルにもおよび、常設展、企画展を開催しています。
企画展のテーマはさまざま、世界各地の近代アートが展示されています。
特徴的なのはこの展示スペース。工場の骨組みを残し、広大なスペースに作品が展示されています。ある時には真っ暗闇の場合もあり、そういった演出ができるのもここならではの展示と言えそうです。
大迫力の常設展示
常設展になっているのはAnselm Kiefer作の「I Sette Palazzi Celesti 」(天の7つの宮殿)と題された大きな作品。この展示スペースならではの迫力ある作品です。
Pirelli HangarBicocca
- 住所: Via Chiese 2, 20126, Milano
- Tel: (+39) 02 66 11 15 73
- 入場料:無料
- 開館時間:10:00-22:00 月・水休館
- HP: https://pirellihangarbicocca.org/
ミラノ近代建築「サンカルロ病院教会」
ミラノの近代建築物を代表する教会として、サンカルロ病院教会があります。この教会は建築家ジオ・ポンティ(Gio Ponti 1891年-1979年)によって設計され教会は1964年~1966年に建設されました。
この教会はミラノでも大きな病院のひとつであるサンカルロ・ボッロメオ病院という敷地の中に建っており、病院と繋がっています。イタリアを代表する近代建築が神と癒しに向き合った作品。
イタリアの教会は空から見たときに十字架の形に見えるように設計されているものがほとんどですが、こちらの教会は菱形の6角形をしています。建築家ジオ・ポンティは6角形を良くモチーフに使い、この教会の全景、窓なども6角形になっています。
美しい6角形のステンドグラス。そういえばミラノ中央駅前にあるタイヤの「ピレッリビル」というのもジオ・ポンティの有名な建築物です。こちらも6角形の建物で、戦後初めてミラノ大聖堂を超える高さの建築物としてミラノに建設されました。
教会内左側には窓と光を共有するように聖人が並んでいます。プロテスタント的とも言えるほどシンプルな空間では人々が死を思い、生を思い、それぞれの祈りを掲げています。
サンカルロ病院教会(Chiesa di santa maria annunciata per L`ospedale S.Carlo Borrome
住所:Via Pio Ⅱ milano
アクセス:地下鉄赤線(M1)のINGANNIから49番のバスが出ています。
洗練された雑貨店マロニゴンマ「MORONI GOMMA」
マロニゴンマ「MORONI GOMMA」は100年以上の歴史を持つミラノを拠点するデザイン雑貨店。ミラノ市内には現在3店舗あり、デザインの街ミラノを象徴するようなお店のひとつです。セレクトされた雑貨や衣類、家具など幅広い品ぞろえがあり、優しい間接照明に照らされたかわいい雑貨などを見るのもいい刺激になりそうです。
商品は定期的に変わっていますが、主にデザイン性に富み、ユーモアセンスがある商品が多いのが特徴的。店内はすっきりとしたイメージの陳列で、イタリアはもちろんミラノ産の商品などもありますのでお土産探しにも役立ちそうです。
生活が楽しくなるようなイメージが持てる数々は見ているだけでも楽しめそうですね。
- MORONI GOMMA
- 住所:Corso Garibaldi, 123, 20121 Milano MI
- HP 多店舗も検索できます
- 営業時間:10:30~19:30 (日11:00~,月14:30~)
イタリアの家庭用品メーカーアレッシィのアウトレット
イタリアの家庭用品メーカーアレッシィ(Alessi)は1921年スイス生まれのジョバンニアレッシィにて設立されました。アレッシィの家庭用品はデザイナーとコラボレーションしたもので、まさにデザインの街ミラノを象徴するようなお洒落な 製品が特長です。アレッシィの製品は時代ごとに最先端のデザインを取り入れ、各国でも広くしられているイタリアを代表するメーカーです。
アレッシィの名は世界中で知られていますが、その本社がどこにあるのかはそれほど知られていないのではないでしょうか。アレッシィの本社、および併設工場はミラノの北西、マジョーレ湖の近く Omegna という街に位置します。
本社併設のファクトリーストア
ここに併設してあるのがアレッシィのアウトレット( ALESSI FACTORY STORE )。アレッシィといえば憧れのブランドのように価格も高いですが、ここならかなりお値打ち価格で購入することができます。
店内には往年のロングセラー商品、キッチン小物、皿や鍋などアレッシィ製品がぎっしり。すべてアウトレット価格で購入できます。また少し傷のついたB級品もさらに安く販売しており、気にならない方はじっくり吟味してみるのも楽しそうです。近くには予約のみで訪問できるアレッシィのミュージアムも併設しています。
アレッシィアウトレット( ALESSI FACTORY STORE )
- 住所: Via Privata Alessi, 6, 28887 Omegna VB
- 営業時間:火~日 10:00~13:00 14:00~19:00 月 14:00~19:00
- Tel: 0323 865058
アート・デザイン系書籍の専門店タッシェン(Taschen)
タッシェン(Taschen)はドイツ発の老舗出版社で、主にアート、デザイン、建築などの書籍を専門にしています。こうした分野がお好きな方はご存知かもしれませんが、世界でも数少ないタッシェン専門店があるのはミラノならではと言っても過言ではありません。割に中心地に近いところに位置するのでアクセスもさほど難しくないです。
取り扱うジャンルは幅広く、タッシェンならではの世界観が反映されています。時には限定品も販売され、そうした時には長蛇の列を作るときもあります。現在日本には直営店がないそうなので、ここでしか手に入らない画集などもきっとあるはずです。
お店の二階はギャラリーになっており、ディスプレイも斬新で美しいです。アート系が好きな方にはおすすめです。
この時にはミラノを代表するデザイナーのジオポンティ(Gio Ponti)のオリジナル原画が展示されていました。ちょっとしたギャラリーを訪れるような気分にさせてくれるのもうれしいですね。
- Taschen Milano
- 営業時間:10:30~19:30