今回はミラノ観光であまり有名ではないけれど見ごたえたっぷりの穴場スポットをご紹介。
目次
- 都会の喧騒に隠れた有名なだまし絵教会
- 近代的なビジネス地域ポルタヌオーヴァ「Porta Nuova」
- 荘厳なミラノの記念墓地(Cimitero Monumentale)
- 中心地にある無料のファッション宮殿美術館
- 子供も大人も楽しめるレオナルドダ・ヴィンチ科学技術博物館
- ロンバルディア州のセスティーナ礼拝堂「サン・マウリッツィオ教会」
- ミラノイチオシの大作が鑑賞できるアンブロジア―ナ絵画館
- ミラノの骸骨寺サン・ベルナルディーノ礼拝堂
- 中心地の近代美術館ガッレリア・デイタリア
都会の喧騒に隠れた有名なだまし絵教会
ミラノドゥオーモ広場からヴィア・トリノ(via torino)というショッピング街として有名な通りがあります。比較的若者向けのお店が並ぶこの界隈はいつも人混みでごちゃごちゃしていますが、その中に知らないとほとんど気がつかない小さな教会があります。
ミラノ大聖堂広場から程なくトリノ通り(Via torino)が始まって100メートルほどにあるこの教会は別名「だまし絵教会」として知られています。小さな目立たない教会で建設は1476-1482年ごろとされています。
ルネッサンスを代表する建築家「ブラマンテ」の教会
この教会はルネッサンス期を代表するイタリアの建築家ドナト・ブラマンテの代表作品。彼は「最後の晩餐」のあるサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会の建設に携わり、ローマのサン・ピエトロ大聖堂の建築主任としても知られ、さらにダヴィンチとも友人であったといわれるほど有名な人物。
この教会に入って聖堂を見る限りは何も変哲のない普通の教会に思えますが、実はこの聖堂は壁に描かれたもので何メートルも奥行きがあるように見えるのですが、実は97cmしかありません。横からみるとほとんど壁のように見えるこの聖堂は優れた建築の現代の基盤であるとさえ言われています。
だまし絵教会 (Santa Maria presso san satiro)
住所 | Via Torino 20123 Milano – Italy |
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開館時間 | 月~金 7:30-11:30 15:30-18:00 土曜日 15:30-19:00 日曜日 10:00-12:00 15:30-19:00 |
近代的なビジネス地域ポルタヌオーヴァ「Porta Nuova」
ミラノのポルタ・ヌオーヴァ (Porta Nuova)地域は2005年から都市再開発が始まり、ポルタ・ヌオーヴァ・プロジェクトと呼ばれて現在では近代都市ミラノを象徴するビジネス地域の一画として知られています。ミラノのガリバルディ駅からレプッブリカ広場、近年目まぐるしい変化を見せて新しいレストランなどが続々とオープンしているイゾラ地域(Isola)などがプロジェクトの一帯となっています。
中心に聳え新しいミラノのシンボルになったのがユニクレジットタワー(unicredit tower)。アルゼンチンの建築家セザールペリ(César Pelli)によって設計されたこのタワーの高さは231メートルで現存するイタリアの建物では最も高い建物になっています。ユニクレジットタワーの下はガエ・アウレンティ広場(Piazza Gae Aulenti)と呼ばれ、噴水や夜のライトアップなどが近代的な雰囲気を醸し出す場所となっています。
建築界に偉業を残した垂直の森「Bosco Verticale」
この地域のもうひとつのシンボルとなっているのが「垂直の森」(Bosco Verticale)と題されたこちらの建物。ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)率いるスタジオボエリが設計した2棟の複合施設で2000種類以上の木々が建物のファザードに植えられているが特徴です。近代的な都市構造とサスティナブルをモチーフにしたこの建物は建築界のさまざまな賞を受賞し話題となりました。
旅行者には利用しやすい地元スーパーマーケットとフードコート
ガエ・アウレンティ広場には地下もあり、ここには地元の人もよく利用するスーパーマーケットのエッセルンガ(ESSELUNGA)があります。スーパーの前はフードコートになっており、簡単な休憩や軽食をする場所にも利用できます。
荘厳なミラノの記念墓地(Cimitero Monumentale)
ミラノにある記念墓地(Cimitero Monumentale)は1837年に建設のプロジェクトが始まり、当時のミラノ市長の命により1866年に完成しました。ここにはミラノ市に貢献した著名人(芸術家、音楽家、デザイナー、スポーツ選手、大学創立者など)やその家族が埋葬されており一般に公開されている墓地です。お墓を訪れるのには抵抗がある方もいるかもしれませんが、ミラノでは観光地のひとつとして知られています。
ここの墓地は当初は教会として建設された記念碑とその裏側に広がる庭園墓地の主に二つの区域に分かれています。ここは墓地なのでかなり静かで訪れる人もさほど多くはありません。入場料も無料で気軽に訪れることができます。イタリアのお墓の特徴でもありますが、日本のお墓のように決められた墓石のようなものはなく、それぞれ彫刻のようなブロンズ像が使用されています。主にカソリックに沿った表現が主体ですがまるで芸術鑑賞をするようにお墓を観覧できるのもイタリアならではと言って過言ではないでしょう。
散歩がてら裏庭探索もおすすめ
時間に余裕があれば広大な裏庭も探索してみましょう。この墓地の敷地のほとんどは裏庭になっているいっても過言ではなく、ここでも有名な芸術家が手掛けた様々な彫刻や建造物が観覧できます。
それぞれのお墓はひとつとして同じものはなく、時間をかけて回っても見飽きるということがありません。少し変わった観光地ではありますが、学ぶことも多いミラノの隠れた名所と言えるスポットです。
- Cimitero Monumentale
- 営業時間:8:00~17:30 (月曜休館)
- 入場料:無料
中心地にある無料のファッション宮殿美術館
こちらのモランド パレス(Palazzo Morando)美術館はミラノの高級ブランド通りとしても知られるモンテナポレオーネ通りから少し入ったところに位置し、少し見落としがちではありますが入場無料の美術館です。
元々この辺りは昔からミラノの貴族たちが住んでいた地域であり、かつての貴族モランド家からミラノ市に寄贈された宮殿を美術館として開放しています。
ここの大きな特徴はファッション美術館も兼ねていることで衣類品の展示がしてあります。展示内容は時期によって変わるのですが、ミラノのファッションウィークの間にはイベント展示などもされることから土地柄を活かした美術館と言えそうです。
個人的にはミラノのシンボルでもあるガッレリアの中心部天井に描かれた4枚の絵のオリジナル原画が飾ってあったのが印象的でした。いつもは遠くから見る見慣れた絵も近くから見るとまた別の風勢が感じられます。
入り口付近は見落としがちですが、こちらの看板を目印に左に入っていくと入り口が見えてきます。
- Palazzo Morando
- 開館時間:10:00~17:00 月曜日休館
- 入場無料
子供も大人も楽しめるダ・ヴィンチ科学技術博物館
地下鉄緑線(Linea 2)のサンタン・ブロージョ駅(Sant` Ambrogio)から徒歩5分。教会前の大きな広場に隣接してあるのがこの「レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館」。この博物館は科学的思考の発達と工業技術の発展を紹介するために1953年に開館。11世紀から16世紀に修道院として使われていた建物を現在博物館として利用しており、そこの2階展示室にレオナルド・ダ・ヴィンチの発明した器具のデザインとモデルなど多くの作品が展示してあります。
ダヴィンチ発明品の数々
イタリアが生んだ世紀の天才レオナルドダヴィンチ。世界遺産に登録されている「最後の晩餐」は彼が約18年をミラノで過ごした時に制作されたものであり、その生涯と作品はまだ世界中の多くの研究者を悩ませています。
ダヴィンチは偉大な画家としてだけではなく建築家、工学技士、あらゆる分野に長けていたことが知られているが、生前に人体解剖図、土木工事機器、軍事用武器、機織り機や飛行機器などのアイデアをデッサンとして後世に残していました。
この博物館ではそのデッサンを元にしたまるで芸術品のような模型を展示。多方面の研究に取り組んだルネッサンス期の天才の秘密を垣間見ることができる世界でも珍しい国立の博物館となっています。
北イタリアを象徴する膨大な展示物、イタリア科学の発展を体感
この博物館は敷地が5万平方メートル、展示物も16000点を超え、クラシックカーや時計、中世の地球儀や天体望遠鏡、月の石がある天体部門、電気の発明から電波の仕組みを説明した科学技術部門などカテゴリーごとに分かれています。
この博物館は敷地が5万平方メートル、展示物も16000点を超え、クラシックカーや時計、中世の地球儀や天体望遠鏡、月の石がある天体部門、電気の発明から電波の仕組みを説明した科学技術部門などカテゴリーごとに分かれています。
展示機械がパネルや機器などでわかりやすく表示されているため科学技術の発達を体感でき、機械好きの大人はもちろんのこと言葉がわからない子供連れにも楽しめるようになっている。蒸気機関車、戦闘機、潜水艦など他では目にできない巨大な展示物は更なる科学への興味をもたらしてくれるに違いありません。
レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館
(Museo Nazionale della Scienza e della Tecnica Leonardo da Vinci)
- 住所:VIA S.Vittore,21 – 20123 Milano
- 営業時間:9:30~18:30(17:00火・水曜日) 月曜休館
- 入場料:10ユーロ
- HP
ロンバルディア州のセスティーナ礼拝堂「サン・マウリッツィオ教会」
今回はミラノ「サン・マウリッツィオ教会」の紹介です。
この教会の建設が始まったのは1503年とされていますが、この教会は別名ロンバルディア州のセスティーナ礼拝堂と呼ばれるほど有名な教会でもあります。
この教会の大きな特徴としてほとんどすべての壁にフレスコ画が描かれています。
フレスコ画は数多くの画家の合作となるロンバルディア・ルネッサンスの総体性と呼んでもいいほどです。
有名な画家の作品も多くあり、ルネッサンスを代表するベルナルディーノ・ルイーニ(Bernardino Luini)やヴィンツェンツォ・フォッパ(Vincenzo Foppa)などの作品もあります。
こちらは1554年製造のパイプオルガン。一件の価値ありです。この教会に併設して「考古学博物館」もあります。
・サン・マウリッツィオ教会(San Maurizio al Monastero Maggiore)
住所:Corso Magenta 13
時間:火曜日~土曜日 9:30-17:30 入場無料
ミラノイチオシの大作が鑑賞できるアンブロジア―ナ絵画館
ミラノ大聖堂広場から徒歩2~3分の距離にあるアンブロシア―ナ絵画館(Pinacoteca Ambrosiana)はミラノの美術館の中でも選りすぐりの大作が鑑賞できるおすすめの絵画館(美術館)です。ミラノ在住の筆者もミラノの中でもイチオシの美術館なので、ミラノでどこか美術館に行きたいと興味のある方にはおすすめの美術館となっています。
この美術館の主なコレクションはルネッサンス期のものであり、レオナルドダヴィンチ、ラファエロサンティ、カラヴァッジョ、ボッティチェリ、ティツィアーノなどイタリアルネッサンス黄金期を代表する大作が展示されています。これだけ見事なコレクションはまさにミラノ随一と言っても過言ではないでしょう。
レオナルドの間にはレオナルドダヴィンチ作の「音楽家の肖像」が展示されています。レオナルドダヴィンチ作とされる作品は生涯10数点しか存在せず、その中の貴重な一枚を鑑賞できるのが大きな目玉となっています。(こちらをレオナルドダヴィンチ作と認定しておらず、正式な作品として挙げられないという諸説もあります)
出口付近にはかつての図書館部分が展示室として使用され、まるで映画の中に飛び込んだような臨場感を感じさせます。レオナルドダヴィンチは生前よくメモを取っていたということで有名で、レオナルド・ダ・ヴィンチ手稿と呼ばれて現在でも研究対象とされており、ここではオリジナルの手稿10数点を鑑賞することができます。
アンブロジア―ナ絵画館(Pinacoteca Ambrosiana)
- 住所:Piazza Pio XI, 2, 20123 Milano MI
- 営業時間:10:00~18:00 (水曜日閉館)
- 入場料:15ユーロ
- HP
ミラノの骸骨寺サン・ベルナルディーノ礼拝堂
ミラノ中心地近くにある教会。一見なんてこともなさそうな普通の教会ですが、この教会には地元の人さえあまり知らない特別な礼拝堂があります。宗教観の違う日本人にとってはとても信じられない場所ですが、あるいは人生の価値観をひっくり返してくれる教会かもしれません。もしかしたら違う意味でミラノ大聖堂よりも印象深い教会と言えるかもしれません。
教会の創立
この教会の創立は8世紀にまでさかのぼります。隣にある教会もそうですが、病院にてなくなった人びとの霊を安置する目的としてこの教会は設立されました。度重なる老築のため1679年に修正を施された後、現在に至っています。ミラノ大聖堂から歩いて5分ぐらいの距離にありますが、地元の人々でさえこの教会にとても特殊な礼拝堂があることはあまり知られていないようです。この礼拝堂にショックを受けたあるポルトガル人は同じような礼拝堂をリスボンに作ったと言われています。
特別な礼拝堂
この教会に入るとまず正面に大きな聖堂があります。右側の祭壇にはコロンブスの親類にあたる聖者が安置されているとのこと。しかしこの教会が特別なのは入口右側にある礼拝堂です。礼拝堂へ通じる扉を潜った瞬間にまるで気温が何度か下がるような、空気が入れ替わるような寒気を感じます。その通路を進んでゆくと、その奥に特別な礼拝堂が待っています。
この礼拝堂の壁一面は2000個以上の人間の頭がい骨を使ってデザインされています。大きな十字架が形づくられ、中心にはマリア像が死に囲まれるようにして祈りを捧げています。天井にはまるで生と死を暗示するかのように美しい天上の絵が描かれ、訪れる人に人生の両極を訴えかけるかのようです。使われている頭がい骨は戦時中に野戦病院で亡くなった人たちのものらしいです。ということはイタリア人以外の人もいるに違いないでしょう。子供のものと思われる小さな頭がい骨もあり、その空洞の奥から我々に生きることの意味を問いかけるようでもあります。
サン・ベルナルディーノ礼拝堂 (Santuario Arcivescovile di San Bernardino alle Ossa di Milano)
住所 | Verziere, 2 – 20123 Milano – Italy |
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行き方 | ミラノのドゥオーモから歩いて10分ほど。Piazza Santo Stefanoの近く |
休館日 | 日曜日 |
開館時間 | 月曜日~金曜日 7:30-12:30 / 13:00-18:00 土曜日 7:30-12:30 |
中心地の近代美術館ガッレリア・デイタリア(GALLERIE D’ITALIA)
ミラノの中心地スカラ座広場。毎日多くの観光客がカメラのシャッターを切り、地元ミラネーゼ達が通り過ぎるミラノを象徴する広場の一つ。そんな広場に2011年末にオープンした近代美術館があります。その名はガレリアデイタリア(GALLERIE D’ITALIA)。初めてスカラ座広場を訪れたときはまるでこちらがスカラ座かと思うほど荘厳な建築物。こちらの建物は1800年代後半から1900年代初期にイタリア銀行として建築されたもの。現在では地元銀行インテッササンパウロ財団が運営する美術館として生まれ変わっています。
美術館の内部はかつての銀行の雰囲気を残したとても優雅な作り。ミラノの美術館はルネッサンス期の作品のものが多いが、一方このガッレリア・デイタリアは主に1800年代後半から1900年代前半の絵画を中心にした近代美術館。展示してある作品は主にミラノの銀行や個人蔵であったものが多く、今までは世に出ることがなかった作品も展示されています。
イタリアの近代絵画の魅力を存分に堪能
美術館内は22の部屋に仕切られ、日本人が好きなフランスの印象派画家達の作品などに影響され独自の魅力を放つ印象派、象徴主義的な作品が多くある。印象派時代の作品が好きな方には特にお勧めの美術館。
ガッレリア・デイタリア (GALLERIE D`ITALIA)
住所 | Piazza della Scala, 6 – 20121, Milano, イタリア |
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電話番号 | +39 02 724341 |
休館日 | 毎週月曜 12月24,25,31日、1月1日、5月1日 |
開館時間 | 火曜~日曜 9:30-19:30 木曜 22:30まで (入場は閉館1時間前まで) |
入館料 | 入場料10ユーロ (*)2015年11月に料金改定されました |
所用時間 | 約一時間 |
サイト | https://www.gallerieditalia.com/ |