北イタリアの主要都市ミラノには世界中の観光客を魅了する魅力的なスポットが満載です。どこに行ったらいいのか、と迷う方も多いはず。
ここさえ押さえておけば間違いないという効率的な一日のモデルコース9選を現地コーディネーターが余すところなくご紹介いたします!
目次
- まずはミラノのシンボル「大聖堂(ドゥオーモ)」からはじめましょう
- 「ガッレリア」で幸せになるモザイクを体感
- 雰囲気だけでも味わいましょうイタリアオペラの殿堂「スカラ座」
- ここらで少しお土産チェックとショッピング「百貨店リナシェンテ」
- そろそろ小腹が空いたのでは「揚げピザルイーニ」で地元の味を堪能
- ミラノのお土産はこちらがおすすめマロングラッセ「ジョバンニガッリ」
- やはり目指すはミラノの宝「世界遺産最後の晩餐」
- 「スフォルツェスコ城」でミケランジェロ生涯最後の作品を鑑賞
- ロマンチックな「ナヴィリオ運河沿い」でお得に早めの夕食がおすすめ
まずはミラノのシンボル「大聖堂(ドゥオーモ)」からはじめましょう
時間:8:00~9:00 (観覧目安:1時間半~2時間)
ミラノ観光の幕開け、まずはミラノのシンボル、中心地のミラノ大聖堂(Duomoドゥオーモ)からはじめましょう。その理由は主に2つ。時差ボケのある方も多いかと思いますが、芸術的と言っても過言ではない荘厳なこの建築物が一気に感性を呼びさましミラノに来た!という実感が湧いてくるからです。もうひとつはミラノで主要なスポットなため朝のほうが比較的空いていて人が込まない間に効率的に見学できるためです。
ヨーロッパでは街の中心に神の象徴である教会が置かれ、それを取り囲むように広がってゆくという形式が多く見られますがここミラノでも街の中心でありシンボルとなっているのがこの大聖堂「ドゥオーモ(duomo)」です。イタリアではその街の中心に位置する大聖堂はその街の在り様を反映していると言われており、デザインやファッションで有名なミラノはこの大聖堂の恩恵の元に成り立っていると言っても過言ではありません。
建築年数約500年という圧巻のゴシック建築の歴史
現在の大聖堂広場にはかつてサンタ・マリア・マジョーレという教会がありました。この教会を再建したのが当時ミラノを支配していたジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ。彼の命により現在のミラノ大聖堂は1386年より着工し、約500年の歳月を経て1813年に完成したとされています。何度も戦争などの影響により工事も中断したそうですが、この大聖堂の完成式を行ったのは当時破竹の勢いでヨーロッパ全土を侵攻していたナポレオンと言われており、こうした背景も歴史の奥深さを感じさせます。
大聖堂を設計したのは多くの建築家の合作とされており、ルネッサンス期を代表するドナト・ブラマンテ(Donato Bramante)も関わったようですが、メインとして名があがるのは北イタリアミラノおよびその近郊で多大な影響を与えたジョバンニ・アントニオ・アマデオ(Giovanni Antonio Amadeo)とされています。ただアマデオが描いた設計図には現在ある特徴的な135本の尖塔がなかったとされており、このデザインは後ほど追加されたものとされています。
その壮大な建築は全長158m、幅93m、高さが108mで内部の面積が1万1700平方メートル。世界最大級のゴシック建築として知られています。2245体の彫刻との融合美はまさに圧巻の一言です。大聖堂の頂上には重さ1トンもあるという金のマリア像が君臨し、大聖堂建設が始まってからこのマリア像の高さ108メートルというのがミラノの建築物の最大限度であり、それは近代化が始まる1950年代まで頑なに守られていたそうです。
晴れた日には内部のステンドグラスが美しく輝き、荘厳な教会内をさまざまな光の色で満たしてくれます。旧約聖書、新約聖書からなるキリスト教の歴史を描いた油絵、そして彫刻などが並び、神聖な空気が漂う空間と言えるでしょう。その壮大な空間に漂う神秘的な静寂は訪れる者の心をそっと休めてくれるようです。
祭壇の上部にはキリストが十字架に打ち付けられたときに用いられた3本の釘のうちのひとつが保管されていると言われており、この大聖堂がいかに地元のカソリック信者に崇められてきたのかを裏付けるような重要な証拠になっています。
ぜひ大聖堂の屋根に上ってみましょう
ミラノ大聖堂は階段もしくはエレベーター屋上に上ることができ、ミラノの街を一望することができます。遠くから見ていてはわからないゴシック建築の美しい彫刻の数々を近くで見れる絶好の機会です。
やっぱり高い所に登って景色を眺めると遠くまで来たという実感が湧いて楽しいものです。その彫刻の向こう側に広がるパノラマのミラノを見れば、一生の思い出になることは間違いないでしょう。
大聖堂に登るには専用のチケットが要りますし、それなりに狭い通路を歩かなくてはいけません。時間がない方やそこまで手間をかけたくないという方へ裏技的な方法は横にある百貨店リナシェンテのエレベーターを無料で使用することです。雰囲気は味わえますし、もしのんびりしたい場合にはゆっくりできるカフェも利用できますのでこちらもチェックしてみてください。
ミラノ大聖堂への入場方法
大聖堂への入場、および教会の屋根に登るためにはチケットが必要になります。チケットオフィスは大聖堂を正面に見て右側に進んで行くとインフォメーションセンターがあり、そこで購入できます。チケット購入にもそれなりに手間と時間がかかります。大聖堂に入場する、登るための昇降口のためにも並びます。
滞在時に予定を決めたくない、時間に余裕がある方はいいかもしれませんが、大聖堂への入場チケットには専用のサイトからオンライン予約が可能なのでこちらをぜひ利用されるほうがおすすめです。オンライン購入の場合にはチケット代が+0,5~1ユーロの追加があります。
チケットの購入方法、入場の仕方はミラノ大聖堂のページにてさらに詳しく解説しています。
・ミラノ大聖堂 (Duomo di milano)
入場時間:8:00〜19:00
大聖堂ミュージアム:10:00〜18:00(月曜休み)
屋上昇降口:9:00~19:00
入場チケット:6~28ユーロ(子供指定料金もあり)
・大聖堂内部のみ:6ユーロ
・(一番おすすめ)大聖堂と地下聖堂、博物館、エレベーターでの昇降:20ユーロ
・大聖堂と地下聖堂、博物館、階段での昇降:15ユーロ
「ガッレリア」で幸せになるモザイクを体感
時間:10:00~10:30(観覧目安30分程度) 移動:徒歩2~3分
大聖堂(ドゥオーモDuomo)と同じようにミラノのシンボルとなっているのが門のように見えるこちらの建物ガッレリア(Galleria)。誰もが訪れるミラノの中心地大聖堂広場に面しているのでこれを見逃す手はありません。
このネオクラシック調の美しい建造物は1861年にイタリア統一をした初代国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世( Vittorio Emanuele II)にちなんで名づけられています。ガッレリア(Galleria)とはイタリア語でトンネルやアーケードを意味し、ミラノの中心である大聖堂広場とスカラ座広場を繋ぐ通路して建設されました。この通路の間には現在では世界的にも有名なブランドショップが立ち並び、世界初のショッピングモールの橋掛けとしても知られています。
国際的にもファッションの街として知られるミラノですが、それを象徴するのがまさにこのガッレリアの中心にあります。歴史ある有名な「プラダ」の本店がメンズとレディースに分かれて対峙しており、それはまるで歴史と現代の街ミラノを象徴しているかのようです。
この通路を建設するにあたりコンペが行われ、見事栄冠を勝ち取ったのはイタリアの建築家ジュゼッペ・メンゴーニ(Giuseppe Mengoni)。このガッレリアは1865年から1877年の間に建設されました。石造りの伝統工法を基盤にガラス、鉄、石、そして近代の鉄骨が組み合わさった融合美はまさにミラノの建築技術の終結と呼べる傑作でしょう。何度訪れてもそのバランスのとれた美しさはミラノの日常に溶け込みながらひときわ輝いて見えます。
こちらのガッレリアは通路なので営業時間や通行料などはありません。
幸せになる「雄牛」のモザイクを踏もう
このガッレリアの中の床はすべてモザイクで作られており、ローマやフィレンツェなどイタリア国内の他の街を表したモザイクもあります。その中でも特に必見スポットなのがこちら「幸せの雄牛」のモザイク。プラダ本店の目の前にあります。モザイクの牛の急所あたりに穴が開いており、ここを軸に目を閉じて右足を軸に3回時計回りに回ると幸せになれるという逸話があり毎日多くの人で賑わっています。
この一帯はおしゃれなカフェやレストランがあることでも有名です。その中でも特におすすめなのがこちらの老舗カフェであるパスティッチェリア・マルケージ(PASTICCERIA MARCHESI)。ここはプラザ財団(Fondazione Prada)が手掛けたこともありOsservatorio(天文台)の看板が目印になっています。
店内の窓からはガッレリアを眼下に見れる絶景が堪能できます。名所を高いところから眺められるというのも楽しいものです。ちなみに窓の前にはスタンドのテーブルがあり、そこなら席料も取られずにカフェタイムが楽しめます。また中心地でトイレに行けるのも安心ですよね。
多くの人がこのカフェにてゆったりとした都会のひと時を楽しんでいます。ぜひ旅の思い出にご利用ください。ガッレリアに関してさらに詳しいことはこちらから。
Pasticceria Marchesi(営業時間:7:30~20:00)毎日
雰囲気だけでも味わいましょうイタリアオペラの殿堂「スカラ座」
時間:10:30~11:00(観覧目安:15分程度美術館1時間)移動:徒歩2~3分
「神々への賛辞のための音楽」そう呼ばれるのがここイタリアで生まれたオペラ。それがここミラノで行われる場所が中心地からほど近い世界的にも有名な「スカラ座」。ミラノにあるスカラ座は世界でも最も古いオペラハウスの一つとして知られ、ミラノの街でもシンボル的な存在となっています。19世紀から20世紀初頭にかけて、ジョゼッペヴェルディやプッチーニ、マリアカラスなど有名な作曲家や歌手が出演し、歴史的な演奏やプレミア公演が行われました。ここでは世界でもトップクラスの質の高いオペラやダンスを堪能することができます。
スカラ座の音響は世界的にも優れていると評価されており、質の高い音響効果で最高の音楽を堪能できるというのも人気の特徴のようです。建物の外観よりもその内部の豪華さや劇場の美しさをぜひ堪能してみましょう。残念ながらオペラを見る時間がないという方には「スカラ座博物館」もあり、内部を見学できるようになっています。スカラ座博物館は正面の左側に入り口があり、博物館に入場すれば玄関ホールや劇場内が同時に見学できるようになっています。(リハーサルを行っている場合には劇場内へ入れない場合もあります)
ミラノ・スカラ座 (Teatro alla Scala)
住所:Via Filodrammatici, 2, 20121 Milano MI
スカラ座博物館:毎日9:30~17:30(最終入館は17:00)
博物館入場料:12ユーロ(2023年3月現在)
スカラ座公演チケットの購入方法
スカラ座公演でのチケットの購入方法は3つあります。
- スカラ座HPからオンラインで購入
- 現地チケットオフィスにて購入
- 当日立見席の購入
まず一番確実なのがこちらスカラ座HPからオンラインにて購入する方法です。通常スカラ座のチケットは公演の約2~3カ月前にインターネット販売が始まります。オンライン販売の場合通常のチケット料より20%上乗せの予約料金が発生しますがどうしても公演を見たい場合にはオンライン購入をお勧めします。
もうひとつの方法は現地スカラ座のチケットオフィスにて購入する方法です。チケットオフィスは上記写真にあるようにスカラ座にあります。
チケットオフィス営業時間:月~土 12:00-18:00
こちらも時期としては約2~3カ月前から現地のチケットオフィスにて販売されます。以前はオンラインが先行販売でしたが、現在は同じ時期にチケットオフィスでも購入可能になりました。現地オフィスでは通常料金で販売され、オンラインで販売されなかった席も販売されると言われていますが、人気公演には席もかなり限られることが予想されます。
当日の立見席の購入方法やさらに詳しいことはこちら「スカラ座チケットの購入方法」をご参照ください。
ここらで少しお土産チェックとショッピング「百貨店リナシェンテ」
時間:11:00~11:30 (観覧目安:1時間) 移動:徒歩3~5分
ミラノの中心地「ドゥオーモ」のすぐ横にあるミラノの百貨店「リナシェンテ」。こちらは地元の人も多く利用しますが、観光客にとってもかなり使える場所でもあります。街を探索しなくてもイタリアのほとんどのブランドがそろっているので、時間のない方にも便利ですが、ここでしか買えない特別なお土産を買えるというのが理由のひとつです。
百貨店の地下にはおしゃれな雑貨コーナーもあって楽しいですし、最上階は食料品コーナーになっています。スーパーなどでは買えないオシャレな瓶に入ったオリーブオイル、バルサミコ酢、特別なお酒などなど、お土産にもってこいの品物が買えます。一風変わったおしゃれなチョコレートなども個別に販売しています。
穴場の最上階カフェ、レストラン
最上階はカフェ、レストランになっていてミラノのドゥオーモの屋上を目前に見ることができます。ドゥオーモに登る時間がない方はここから少しでも荘厳なバロック建築を覗いてみるのもいいかもしれません。それに夜などはワインを傾けながらロマンチックな一時を過ごすにはお勧めの場所です。ミラノの中でも百貨店「リナシェンテ」はとても使い勝手が良い場所だと思います。
この中で買ったもので155ユーロを超えるものは6階にあるタックスフリーオフィスにて申請できます。また百貨店はほとんど休みなく営業しているのも旅行者にとってはありがたい存在です。
そろそろ小腹が空いたのでは「揚げピザルイーニ」で地元の味を堪能
時間:12:00~12:30(観覧目安20分程度) 移動:徒歩2~3分
このルイーニの歴史は古く、1888年南イタリアにて始まりました揚げピザ・パンツェロッティ(panzerotti)を提供する持ち帰り専用のお店。まだこの南イタリアの名物料理を誰もしらなかった50年以上前、ミラノに店舗を構えたルイーニは雑誌やテレビなどでもよく取り上げられミラノで知らない人はいないというぐらい有名なお店です。
ミラノ中心地の近くという好条件、一つ2,5ユーロという低価格ということもあり、いつもお店の前には長蛇の列ができています。お年寄りから子供まで、並ぶのが嫌いなミラネーゼたちも、ルイーニはしょうがないという感じでそのやみつきになる味を求めて行列を作っています。ちなみに12:30~13:00時ごろになるととんでもないほどの行列ができていますので、なるべく早めの空いている時間に訪れたほうがおすすめです。
ルイーニ (Panzerotti LUINI)
- 住所:Via Santa Radegonda 16 – Milano ITALY
- 営業時間:10:00~20:00
- 定休日:日曜日
- 公式サイト
ミラノのお土産はこちらがおすすめマロングラッセ「ジョバンニガッリ」
時間:12:30~13:00(観覧目安:15~20分) 移動:徒歩3~5分
古今東西、甘いものは人々を魅了しそれがおいしければ自然と人から人へと伝わってゆきます。ミラノで1911年からお店を構えるGiovani Galliは、ミラノ中心地でも人気の洋菓子店。それほど甘すぎず日本人のテイストにも合っています。特にこのお店で有名なのは「マロングラッセ」。このお店の「マロングラッセ」はミラノだけに留まらず、イタリア各地でも知れ渡っているほど。
「洋菓子店」のマロングラッセの値段は57ユーロ/キロということで、お店でそのまま食べると一個1,2ユーロほど。でも重さの値段なので箱などに入れてもらうと値段が上がります。マロングラッセは常温で約3週間が賞味期限。長年ミラネーゼの味覚を満足させてきた名物「マロングラッセ」日本へのお土産にもピッタリです。他にも珍しいホオズキのチョコレートなどもあります。ぜひご賞味ください。
また冬以外には美味しいマロングラッセのジェラートや見逃せないサイト割引も実地しています。さらに詳しいことはこちらから。
ジョヴァンニ・ガッリ (Giovanni Galli)
- 住所:Via Victor Hugo 2, Milano
- 営業時間:9:00-19:00 (日曜は午前のみ)
- 公式サイト
やはり目指すはミラノの宝「世界遺産最後の晩餐」
時間:14:00~14:30(観覧目安:1時間~1時間半) 移動:交通機関 20~30分
ルネッサンス期の傑作レオナルドダヴィンチ作の「最後の晩餐」。あまりにも有名なこの壁画はミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の食堂に描かれています。ミラノにある唯一の世界遺産ということもあり、こちらをぜひ見てみたいという方も多いはず。
まずここで最初にお伝えしておきますが、この「最後の晩餐」は完全予約制です。なので、このくらいの時間が好ましいということでこの時間として書いていますが、ミラノ滞在を計画されこの最後の晩餐を鑑賞したい場合、まず優先的にしなくてはいけないことがこの観覧予約ということになります。
この最後の晩餐は予約が難しいことでも有名で予約が取れただけでもラッキーという感じなので、ここまで書いておいてなんですが、本来ならばこの最後の晩餐の予約時間を軸にタイムスケジュールを組む必要がありますのでご注意ください。
チケットの受け取り方や予約に関してはこちらの「最後の晩餐」のページにてさらに詳しく解説しています。
奇跡の壁画と呼ばれるレオナルドダヴィンチ作「最後の晩餐」
レオナルドダヴィンチは1482年から1499年の間ミラノに滞在していたと言われています。この最後の晩餐は当時ミラノを統治していたヴィスコンティ家の命を受けレオナルドダヴィンチがミラノにいた1495年 – 1498年の期間で制作されました。世界的にも名高いレオナルドダヴィンチですが、実は彼が手掛けたと証明されている作品の数は10数点とかなり少なく、そして唯一の壁画がこのミラノの最後の晩餐となります。壁画であるため持ち運びができず、ここでしか見ることができないというのも価値を高めている理由のひとつ。1980年にはユネスコの世界遺産に登録され、有名な映画や小説でもダヴィンチの最後の晩餐は話題に上り益々注目を集める存在となりました。
レオナルドダヴィンチの最後の晩餐はこちらのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(Chiesa di Santa Maria delle Grazie)内の修道院にあるかつての食堂に描かれています。
レオナルドダヴィンチの最後の晩餐が奇跡の壁画と呼ばれるのには主に2つの理由があります。ひとつはイタリアで壁画と言えば主にフレスコ画が主流ですが、書き直しを何度も行うレオナルドダヴィンチは手法としてテンペラ技法を用いました。卵など植物精油を用いるテンペラ手法は制作に何度も書き直しができるという利点がありましたが、長期保存には向いていませんでした。この絵は完成して間もなく劣化が始まり、数世紀にわたって何度も修復が行われています。一時期はほとんど原型を留めないほど劣化したそうで、20世紀の大修復と呼ばれる20年にわたる修復のおかげで現在は描かれた当時を再現しているそうですが、絵自体はかなりぼんやりとしている印象が否めません。
もうひとつの理由ですが、よく絵を見てみると右側の天井あたりが欠けていることがわかります。このサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会は第二次世界大戦の際に爆撃に遭い、ほとんど全壊に近い状態になったとのこと。
損壊時には教会の屋根や壁も吹き飛び、瓦礫の山のなかでまるで聖人たちが手を差し伸べたモニュメントのように、聳え立っていたのがこの最後の晩餐が描かれていた壁の部分であったということです。修道士たちはこの壁を守るために必死に土嚢を積み上げ、そうして天才ダヴィンチの傑作は現在までミラノに残された奇跡の宝として世界中から訪れる多くの観光客の眼差しを浴び続けています。
最後の晩餐 (Cenacolo Vinciano)
- 住所:Piazza Santa Maria delle Grazie, 2 MILANO – ITALY
- 休館日:毎週月曜日、1月1日、4月25日、5月1日、12月25日
- 入館時間:8:15~18:45
- 公式サイト
- 専用チケットセンター(+39 02 92800360 ) 月~土:8:00~18.30
- 観覧料金:15ユーロ~
「スフォルツェスコ城」でミケランジェロ生涯最後の作品を鑑賞
時間:16:00~16:30(鑑賞目安:1時間~1時間半) 移動:交通機関 20~30分
中世ミラノの繁栄期を象徴し、街のシンボルとして歴史を伝えるかつての古城「スフォルツェスコ城」。この城は15世紀にミラノを統治していたスフォルツェスコ家の居城として建築されました。1861年イタリア統一後に修復され、この城の内部は面積、コレクション数ともにミラノ随一の総合博物館として一般に公開されており、ミラノ観光では見逃せないスポットして連日多くの観光客が足を運んでいます。
城内は現在博物館として運営されています。博物館は中世、ルネッサンス期の彫刻2000点を集める古代美術館、1500点の貯蔵作品を誇る絵画館、エジプト博物館、アンティーク家具・木彫博物館、装飾美術博物館、楽器博物館に分類され、城塞の情緒あふれる天井画の下に陳列された幅広い年代の美術品観覧時間は速足でも約1時間という壮大さ。蓄積されたコレクション群はミラノの栄光時代を語る証人として訪れるものを圧倒するほどのコレクションとなっています。ただそれほど有名な作品はないため、時間のない方は以下の作品のみご覧になってもよいかもしれません。
この博物館の目玉作品としてミケランジェロが死の間際まで作っていたといわれる「ロンダニーニのピエタ」が別棟に展示されています。「ピエタ」というのは元々イタリア語で「慈悲」という意味ですが、多くのアーティストが絵画や彫刻でこの「ピエタ」を表現してきたキリスト教カソリックにおいて重要なテーマ。主に聖母マリアが死んだキリストを抱えているという構図で、ローマではミケランジェロが23歳の時に製作したと言われる作品がサンピエトロ大聖堂にあることで有名で、ここミラノの「ピエタ」にも世界中から多くの観光客が訪れる。「ロンダニーニのピエタ」はミケランジェロが彼の墓標にする予定だったとも言われており、未完成の作品のため謎も多く、未完の傑作と称されています。
2013年にこの城の「アセの間」から500年の時を経てレオナルドダヴィンチが描いたフレスコ画が発見され、歴史的大発見として話題を呼び現在でも修復作業に大きな注目が集まっています。
スフォルツェスコ城 (Castello Sforzesco)
- 住所:Piazza Castello, Milano Italy
- スフォルツェスコ城:入場無料
- スフォルツェスコ城博物館:5ユーロ 9:00-17:30(月曜休館)
- 行き方 :地下鉄赤線(M1)カイロリ駅(Cairoli)下車徒歩1分
ロマンチックな「ナヴィリオ運河沿い」でお得に早めの夕食がおすすめ
時間:17:30~18:00 移動:交通機関 20~30分
さて、いよいよ素敵なミラノの一日の締めくくりにおすすめなのはロマンチックな運河沿いのナヴィリオ地域。観光地だけには留まらず多くの地元民にも人気が高く、商業とファッションというあわただしいイメージのミラノですが、ここでは歴史とロマンの匂いが漂い、ゆっくりとした時間が流れているのが人気を呼ぶ理由でもあります。
そしてナヴィリオ地域をお勧めする理由はもうひとつあります。イタリアのレストランは夕食19:00~19:30ごろにオープンするレストランがほとんど。レストランを堪能したい方はもちろんお勧めのレストランをご利用すればいいのですが、次の日もあるし、それなりに疲れたし、さっと夕食を済ませたい方も多いはず。このナヴィリオ地域ではアペリティーボというミラノ独自のシステムがあることで有名な地域なのです。
アペリティーボとは?
アペリティーボ(Aperitivo)とは元々「食前酒」と意味で、食事の前のお酒と合わせる軽食という形で始まったようですが、今ではそれが拡大しここミラノでは独自の文化を持っています。現在アペリティーボと言えば、ドリンク一杯とブッフェ形式の食事が食べ放題!というとてもお得なシステムになっています。基本的にはドリンクとブッフェが込みの値段で8~15ユーロほどとお店によっても値段が違います。(イメージとしては値段の高いほうが食事が豪華)
アペリティーボ(Aperitivo)やハッピーアワー(Happy Hour)とお店の看板に書いてあるところが目印となります。18:00ごろから始まるところがほとんどなので早めの夕食をさっと済ませたい方にもおすすめです。
ドリンクは何を頼んでも(ビール、ワイン、カクテル、ノンアルカクテル、ソフトドリンク、水)基本的に値段は同じです。なので単価の高いドリンクを頼む傾向にあります。
ブッフェにある料理を小皿に取って自分の席に持って来て(セルフサービス)好きなだけ食べても良いという画期的なシステム。ただドリンクの値段は2杯目以降もあまり変わらないこともあるので、調子に乗って3,4杯も頼んでしまうとお得感が全くなくなるので注意が必要です。
ナヴィリオ地区 (Naviglio)
行き方:地下鉄緑線(linea 2)でポルタジェノバ駅(Porta Genova FS)下車、徒歩約5分。
今回の記事はこちらで終了となります。ご観覧ありがとうございました。